旦那のエピソード 8

「もしもしー おれーらけど」



呂律の回らない旦那からの電話

心臓が早く鳴り始めました



「パパ??」

「今 何処??」



「〇〇なんらけど…」



あっ 脳梗塞やった




そう思いました




旦那は会社の人に迎えに来て貰うから

会社まで 私に迎えに来て欲しいと言います




「今すぐ そこから救急車呼んで!」



旦那は嫌だの一点張り



ならば 家の近くまで送って貰うよう

強く 強く言いました

旦那の会社より そちらの方が病院に近いからです




その日は土曜日

いつも通う病院は「午前診」しかありませんでした




「もしもし いつもお世話になっております〇〇です 旦那が仕事中に脳梗塞になったと思います! 症状はまだ会ってないので 分かりませんが 呂律が回っていませんでした」



「急いで そちらに伺いたいのですが どうしても12時を超えてしまいます!」




電話は主治医に代わりました



「分かりました 何時でも構いません 必要ならば紹介状もすぐ出せるよう準備しておきます 奥さん 気を付けて来て下さいね」



そう言ってくれました



私は車を出し

今か 今かと旦那を待ちました




少しビッコを引きながら

会社の人の車で旦那が来ました

会社の人にお礼を言い

すぐ 車を病院に走らせました




「血栓が勝つか 薬が勝つか」

以前言われた言葉がグルグル回りました




「冷静になれ!」

私は旦那の症状を明確に伝えれるよう

何度も 何度も 心で

「呂律が回りません」「ビッコ引いてます」

と繰り返してました




病院に着き すぐ診察

「おかしいね…すぐ紹介状書くから!」




とすぐ紹介状を出して貰い

その病院から車で 3分の総合病院に行きました




ここでも すぐ呼ばれ

旦那はMRIをし アスピリンの点滴を打たれていました




「奥様 2度目の脳梗塞と思われます」

「はい…」


「リハビリ科に掛かる結果になるかも知れないと…覚悟しておいて下さい」




「はい…」




私は 呆然としました




どうやって帰宅したのか

その日何を子供達に食べさせたのか

私は 料理をしたのか




記憶がありません



ただ…

どんな道にしろ

子供達を「食べさせていかなきゃ」

そう思いました